開発プランナーBLOG(MYU Planning and Operators)

新しいコミュニティ型商業施設

こんにちは、KOZUです。またサボってしまいました。今年はじめてのブログ更新です。

今回は昨年末に、たて続けにオープンした都心型の商業施設を2軒リポートしようと思います。

どちらも、小型、特化したテーマ、いくつかの建物の複合、という部分が共通しています。

そして、どちらも既存のデベロッパーが開発する商業施設とは一味違います。

まずは、代々木の代々木ゼミナール校舎跡に開発された、「代々木VILLAGE by kurkku」です。

 

RIMG0197.JPG

           ファサードはどこか温室の入り口を思わせる。

 

 

プロデュースしたのは音楽プロデューサーの小林武史氏。

小林さんは「快適で環境にも良い未来に向けた暮らし」を実践する場としてカフェ、レストラン「kurkku」を展開していますが、今回のような大型の商業施設をプロデュースそして運営するのははじめてとの事です。

この商業施設もkurkkuの思想でもある地球環境を意識したサステナブルをキーワードに11店舗のショップ、レストランが複合されています。

また、このプロジェクトは小林プロデューサーの下、さまざまなアーティストやデザイナー、料理人などがコラボレーションしています。

施設のトータルデザインを手がけたのは今や世界的デザイナーのワンダーウォール片山正道氏。レストランのプロデュースを担当したのは京都イタリアン「イル・ギョットーネ」の笹島保弘氏。

そして、敷地内に展開するある種異彩を放つ植栽を担当したのは、世界中で珍しい植物を採取する「プラントハンター」の西畠清順氏。テレビの「情熱大陸」に取り上げられ一躍有名になった方です。

 

PURANNTO.jpgのサムネイル画像プラント.jpg 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

珍しい植物があちこちに植わっています(左)「偶然に生み出された新種」というタイトルが付いたユッカという木(右)

 

 

「推定樹齢500年のオリーブ」や「100年に1度咲く花」などかなりマニアックな植物が植わっています。

施設構成として核となるのは、イタリアンレストラン・バーの「Code Kurkku」で、京野菜や旬の食材をシンプルかつ斬新に提供するレストランと、こだわり抜いた音響設備が自慢のバーが複合します。

 

 

クルックレストラン.jpg

 

                           敷地の一番奥にあるメインレストランの「CodeKurkku」

 

 

レストラン以外のショップはエントランス周りに「コンテナショップ」として、ベーカリー、コーヒーショップ、洋書店、アパレルショップ、旅行カウンターなどのライフスタイル提案型の店が展開します。

 

 

コンテナ.jpg

   2層に積み上げられた「コンテナショップ」。作らず再生利用するという、コンセプトを表現した店舗形態 

 

 

この施設全体に流れる空気感は小林氏がkurkkuで表現してきた環境やサステナブルな消費や暮らし方を推し進め、物販やサービスまで含めたライフスタイル提案によるものです。

 一流のクリエーターたちが一つのテーマの下、集まり、さまざまな楽器を演奏した音楽のような商業施設。そんな音楽プロデューサーならではの施設開発がこの施設の魅力となり、共感する人がわざわざ代々木にやってくる。一つの新しい商業施設のあり方が見えてきます。

 

そして、2軒目はこの施設がオープンした1ヵ月後の12月にオープンした、「DAIKANYAMA T-SITE」です。

こちらも、既存デベロッパーではなくTSUTAYAを展開するCCCカルチュア・コンビニエンス・クラブによる開発の商業施設です。

この施設の核になるのは書店、CD・DVD販売、CD・DVDレンタル、カフェを複合した「代官山 蔦屋書店」です。

 

蔦屋1.jpg

         

       TSUTAYAのTをモチーフにした外装デザインはクラインダイサムアーキテクツのデザイン

 

 

なぜ、TSUTAYAではなく蔦屋なのか、若者に向けた新しい生活スタイルの情報を提供してきたのがTSUTAYAで、この施設があえてターゲットとするのは「大人」。しかも年齢でいうと50歳以上とのことです。(この世代の人たちをCCC社長の増田氏は「プレミアエイジ」と呼んでいます)

しかしこの蔦屋書店、行っていただけると分かりますが、驚きます。というか、驚きを通り越して感動します。

それは、私がもうすぐ「プレミアエイジ」に差し掛かる、世代だからかもしれませんが、ボクらが物心付いた70年代、80年代のカルチャーが満載なのです。

コンセプトは「森の中の図書館」とのことですが、これはサブカル系オヤジの「国会図書館」です。

 

今、本はネットで買うことが出来ます。電子書籍が広がってきています。音楽もダウンロードが主流です。そんな時代の流れの中で都心、フリースタンディングの書店という常識はずれの方向は、50代以降の世代はネットではなくリアル志向であることに対応しているということでしょう。

 

そしてこの世代は物を売る店のしつらえ、空気感にもこだわりを持ちます。クラインダイサムアーキテクツがコンペで勝ち取り、設計した 環境は十分このこだわりに堪えられるものとなっています。

 

蔦屋店内.jpgCD.jpg 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テーマごとの売り場展開。料理系、旅系、車系は特に充実(左)これはCDショップではなくレンタルです(右)

 

 

また、書店は3棟の建物で構成されるのですが、建物をつなぐ真ん中の棟の2階に100坪以上あるかと思われるカフェ・バーがあります。このカフェの壁面は全て本棚になっていて、年代物の「平凡パンチ」(オジサン狂喜)や「暮らしの手帳」などが閲覧できるようになっています。

時代のカルチャーをネタにコミュニケーションを図れるスペースとして寛ぎの時間と空間を提供しています。

 

 

カフェ.jpgIMG_8401.jpg 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カウンターの腰壁は本の背表紙が埋め込まれる

 

 

 

 カフェのメニューブックはiPad。蔵書も検索できます

 

 

書店以外の施設構成は書店内に「スターバックス」「ファミリーマート」、別棟でカフェ、バー、レストランで200席ある「IVYPLACE」や、電動アシスト付き自転車の専門店、写真機の専門店、知育玩具店、クリニック、ペットショップなどのライフスタイル提案型の店舗で構成されます。それはさながら都心でありながら、郊外、リゾートの森を散策しているような錯覚を覚えます。

 

 

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 T.Y. HARBOR やCICADAを展開するティ・ワイ・エクスプレスの大型戸建レストラン「IVY PLACE」

 

 

そしてまた驚いてしまうのが駐車場。代官山の1等地に平面120台のキャパです。都心の真ん中で郊外型ショッピングセンターのようなゆとりです。「車で来店するこだわりカルチャー系のオヤジ」がターゲットインサイトでしょうか。

CCCさん、これは本気です。根性座ってます。カルチャーです。

 

というわけで、今回ご紹介した2つの商業施設。ほぼ同時にオープンしたことも何かの因果でしょうか。

作り手の想いというか、魂がこめられたこれらの施設にこれからの消費や商業施設のあり方が見えるような気がしてきます。

 

それは、ただ物やサービスを売るのではなくて施設そのものの空気や感動を提供している、ということかもしれません。

そして、居抜きやローコストといったデザイン不在の時代に、デザインの力だってまだまだ捨てたもんじゃないぜ、と思わせてくれる施設なのでした。

 

ああ、力が入ってしまい今回思いのほか大作になってしまいました。

もしかしたらまた、2ヶ月くらい書けないかもしれません。(事前申請)

 

作成日時:19:21 2012年2月 7日
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